2015年8月23日日曜日

8/23こども説教「道ばた、土の薄い石地、いばらの土地にも」マタイ13:1-9,19-23

/23こども説教 マタイ福音書13:1-919-23      
 『道ばた、土の薄い石地、
   いばらの土地にも』         2015,8,23 牧師かねだせいじ

13:1 その日、イエスは家を出て、海べにすわっておられた。2 ところが、大ぜいの群衆がみもとに集まったので、イエスは舟に乗ってすわられ、群衆はみな岸に立っていた。3 イエスは譬で多くの事を語り、こう言われた、「見よ、種まきが種をまきに出て行った。4 まいているうちに、道ばたに落ちた種があった。すると、鳥がきて食べてしまった。5 ほかの種は土の薄い石地に落ちた。そこは土が深くないので、すぐ芽を出したが、6 日が上ると焼けて、根がないために枯れてしまった。7 ほかの種はいばらの地に落ちた。すると、いばらが伸びて、ふさいでしまった。8 ほかの種は良い地に落ちて実を結び、あるものは百倍、あるものは六十倍、あるものは三十倍にもなった。9 耳のある者は聞くがよい」。……19 だれでも御国の言を聞いて悟らないならば、悪い者がきて、その人の心にまかれたものを奪いとって行く。道ばたにまかれたものというのは、そういう人のことである。20 石地にまかれたものというのは、御言を聞くと、すぐに喜んで受ける人のことである。21 その中に根がないので、しばらく続くだけであって、御言のために困難や迫害が起ってくると、すぐつまずいてしまう。22 また、いばらの中にまかれたものとは、御言を聞くが、世の心づかいと富の惑わしとが御言をふさぐので、実を結ばなくなる人のことである。23 また、良い地にまかれたものとは、御言を聞いて悟る人のことであって、そういう人が実を結び、百倍、あるいは六十倍、あるいは三十倍にもなるのである」。        (マタイ福音書13:1-9,19-23)

  たとえ話なので、何が何をたとえているのかと心に留めながら読む必要があります。どこにでも出かけて行って、どんな土地にも分け隔てせず選り好みせず種を蒔きつづけるこの奇妙な種まきは、誰の人でしょう? 神さまです。私たち人間だったら、こんな蒔き方はしませんね。「私たちとはずいぶん違う神さまなんだなあ」、これがいつもの出発点です。どこにでも出かけて行って、どんな土地にも分け隔てせず選り好みせず種を蒔いている。どうして? 暇で暇で、他にすることもなくて仕方なく、ではありません。芽が出ても出なくてもどっちでもいい、と投げやりに無責任に蒔いているのでもありません。芽を出して茎や葉を伸ばして花を咲かせて実がなることを、この種まきは夢見ました。「この土地にもこの土地にも、ぜひ良い実を結んでもらいたいなあ」と。それを楽しみにして、ワクワクしながら待ち構えて、それでどこにでも出かけて行って、どんな土地にも分け隔てせず選り好みせず種を蒔いています。
  道ばた、土の薄い石地、いばらの土地、そして良い土地。御言葉を聴き続けている私たちは種を蒔かれた土地です。さて、あなたはどんな土地ですか? などと意地悪なことは言いません。むしろ、はじめからずっと良い土地など、世界中どこにもありません。根は少しずつ、だんだんと長く太く伸びていきます。種を食べようとする悪い鳥はどこにでもいて待ち構えています。いろんなことを思い煩って、心配事も気にかかることも山ほどあって、用事も約束も次々あって、それらが雑草やイバラのように、せっかく聞いて腹に収めたはずの御言葉を塞ぎます。惑わしたり唆す者たちが、あなたや私の耳元でしょうもないことを朝から晩まで囁きかけます。おかげで、聞く耳がすっかり塞がりました。だいたいどの土地も、あなたも私も同じようなものです。けれど道ばたの土地さん。土の薄~い石っころだらけの土地さん。ついこの間まで茨にすっかり覆われていた土地さん。ほらほら、あなたのことですよ。ではなぜ、その一つの土地が良い土地なのか。なぜ、あなたも今ではなかなか良い土地になったのか? 良いお百姓さんに、ちゃんと世話をされているからです(コリント手紙(1)3:4-9,(2)9:8-11,126:5-6参照)。土が足りなければ土をせっせと加え、肥料も蒔き、耕して木の根や石っころを取り除き、水をまき、悪い鳥が飛んできて種や実を食べようとするなら追い払い、雑草をむしり、悪い病気にかかったら薬をつかい、悪い虫がついたら取り除いてあげて、朝も昼も晩もその畑を気遣って世話をしてくれるお百姓さんがいてくれるなら、その土地は良い土地でありつづけます。かぼちゃやなすやトマトを育てているお百姓さんの仕事を、一日中ずっと眺めたことがありますか。あるいは何ヶ月もつづけて眺めたこともありますか。少しくらいならお手伝いしたことがありますか。大変なんです。朝から晩まで、その種のためにしなければならない仕事が山ほどあります。日照りがつづいたり、台風が襲うとき、モグラやイノシシなどが大切な作物を食い荒らすとき、お百姓さんは気が気ではありません。心配で心配で、畑を何度も何度も見回ります。その土地は、ずいぶん前には木の根と石ころだらけの粗末な土地でした。土も薄かった。雑草も茨も、ちょっと目を離して油断した隙にウジャウジャ生えてきました。でも手入れをしているうちに、今ではとても良い土地になりました。ああ良かった。私のお百姓さん、ありがとうございます。ありがとうございます。今後共よろしくお願いします。