2021年11月2日火曜日

10/31こども説教「レメクの思い上がり」創世記4:19-26

 10/31 こども説教 創世記 4:19-26

 『レメクの思い上がり』

 

4:19 レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダといい、ひとりの名はチラといった。20 アダはヤバルを産んだ。彼は天幕に住んで、家畜を飼う者の先祖となった。21 その弟の名はユバルといった。彼は琴や笛を執るすべての者の先祖となった。22 チラもまたトバルカインを産んだ。彼は青銅や鉄のすべての刃物を鍛える者となった。トバルカインの妹をナアマといった。23 レメクはその妻たちに言った、「アダとチラよ、わたしの声を聞け、レメクの妻たちよ、わたしの言葉に耳を傾けよ。わたしは受ける傷のために、人を殺し、受ける打ち傷のために、わたしは若者を殺す。24 カインのための復讐が七倍ならば、レメクのための復讐は七十七倍」。

    4:25 アダムはまたその妻を知った。彼女は男の子を産み、その名をセツと名づけて言った、「カインがアベルを殺したので、神はアベルの代りに、ひとりの子をわたしに授けられました」。26 セツにもまた男の子が生れた。彼はその名をエノスと名づけた。この時、人々は主の名を呼び始めた。           

(創世記 4:19-26

 

 【こども説教】

 弟をねたんで殺してしまったカインは、けれどもなお神の憐れみを受け、神によって守られて生き延びました。その子孫の中に、レメクという名前の人がいました。どうしたわけか、とても思い上がった、うぬぼれの強い人でした。23-24節、「レメクはその妻たちに言った、「アダとチラよ、わたしの声を聞け、レメクの妻たちよ、わたしの言葉に耳を傾けよ。わたしは受ける傷のために、人を殺し、受ける打ち傷のために、わたしは若者を殺す。カインのための復讐が七倍ならば、レメクのための復讐は七十七倍」。つまり、この私は他の人々とは違ってとても価値のある、ものすごく大切な人間だから、もし、私がちょっとのかすり傷でも受けるなら、その仕返しに相手を殺してやる。打たれて傷でも受けるならば、その仕返しに相手が若者でもその命を奪い取ってやる。なにしろ、こんなに立派な私なのだからと。うわあっ。とんでもない人間です。しかも、『カインのための復讐が七倍ならば、レメクのための復讐は七十七倍』と心優しい神をさえバカにして、あざけっています。カインのための7倍の復讐とは、可哀そうなカインを憐れんで、神がどんなことをしても必ず助けて、いのちを守ってあげるという神の優しい心でした。それなら『わたしレメクのための復讐は77倍だあ』と、自分を持ち上げ、自分は何よりも偉く立派で大切な存在なのだと自慢しています。 

 最後のところ。26節。2人の息子を失ったアダムとエバ夫婦に1人の子供が神から贈り与えられました。その子供も成長し、子供が与えられて、子供の親になりました。神をさえバカにする思い上がった恐ろしい人間たちもいる世界で、そこで、その家族は、「主の名を呼び始め」ました。主の名を呼ぶというのは、神さまに向かって祈り、神を信じて暮らしはじめたということです。

 

 

 【大人のための留意点 ①②

  レメクの思い上がり(23-24節);

「おまえたち、よーく聞けよ。身のほど知らずにわしを襲い、傷を負わせた若僧がいたのさ。で、そいつを殺してやった。カインを殺す者は七倍もの罰を受けるんだったな。だが。わしの場合はそんなもんじゃない。あの若僧のかたきを討とうなんてやつは、七十七倍の罰を受けねばならんぞ(リビングバイブル訳)

  セトにエノシュいう子供が生まれま

す。エノシュという単語は普通名詞は脆(もろ)く弱い人間をさす言葉です。このエノシュの時代に、人々は「主の御名を呼び始めた」(26節)とあります。レメクの歌が鳴り響く世の中で、自らの力を誇示するのではなく、主を喜び、主を礼拝する少数の人たちが起こされたと言うのです。細々とした流れですが、次章のアダムの系図が明らかにするように、この系譜は、あの洪水を経て生き残るノアへとつながっていきます。それはやがてアブラハムにつながり、信仰に生きる神の民の歩みを形づくります。私たちはこの系譜に身を置いています(高松牧人『旧約聖書に聴く『原初史が語る人間と世界』(7)、福音時報 2021年7月号』)。