11/14 こども説教 創世記 8:13-22
『洪水の終わり』 洪水②
8:13
六百一歳の一月一日になって、地の上の水はかれた。ノアが箱舟のおおいを取り除いて見ると、土のおもては、かわいていた。14 二月二十七日になって、地は全くかわいた。15 この時、神はノアに言われた、16 「あなたは妻と、子らと、子らの妻たちと共に箱舟を出なさい。17 あなたは、共にいる肉なるすべての生き物、すなわち鳥と家畜と、地のすべての這うものとを連れて出て、これらのものが地に群がり、地の上にふえ広がるようにしなさい」。18 ノアは共にいた子らと、妻と、子らの妻たちとを連れて出た。19 またすべての獣、すべての這うもの、すべての鳥、すべて地の上に動くものは皆、種類にしたがって箱舟を出た。20 ノアは主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥とのうちから取って、燔祭を祭壇の上にささげた。21 主はその香ばしいかおりをかいで、心に言われた、「わたしはもはや二度と人のゆえに地をのろわない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、このたびしたように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない。22 地のある限り、種まきの時も、刈入れの時も、暑さ寒さも、夏冬も、昼も夜もやむことはないであろう」。
(創世記
8:13-22)
【こども説教】
世界中を覆った大洪水がとうとう終わります。地の上の水は枯れ、見ると、地のおもては乾いていました。けれど、箱舟から外に出るのは、「箱船を出なさい」と神から命じられてからです。神の御命令によって箱舟に入り、神の御命令に従ってその箱舟から出る。ここが大切なところで、ノアと家族たちもすべての生き物も、そして私たちも、神さまに従って生きる者たちです。箱舟から出て最初にしたことは、皆で神さまへの礼拝をささげることです。20-21節、「ノアは主に祭壇を築いて、すべての清い獣と、すべての清い鳥とのうちから取って、燔祭を祭壇の上にささげた。主はその香ばしいかおりをかいで、心に言われた、「わたしはもはや二度と人のゆえに地をのろわない。人が心に思い図ることは、幼い時から悪いからである。わたしは、このたびしたように、もう二度と、すべての生きたものを滅ぼさない」。人が心に思い図ることは幼い時から悪い、と神さまから告げられました。しかも生き延びたのはノアと家族と生き物たちです。朝から晩まで悪いことばかりを思い図りつづけるというと言いすぎですが、どんなに清く正しそうに見える人であっても、誰でも、ついつい悪いことを思い図ってしまう。それが人間だ、と神は言います。しかも、『心に思い図ることは幼い時から悪い人間』の中に、ノア自身も家族も子孫たち皆も含まれます。その悪い人間たちと生き物たちをけれど滅ぼさず、憐れんで救おうとなさる神です。その救いの方法は後で示されます。そこには2つの中身が含まれています。(1)神を信じる一握りの人々を神が選び出すことと、(2)救い主イエスによって成し遂げられる救いの御業です。
【大人のための留意点】
神がノアとの間に立てられた契約には注目すべき特徴があります。まず、この契約はイスラエルの選びに先立つ契約であり、ノアを代表する全人類をその対象としています。また、この契約では、人間だけでなくすべての動物も契約の当事者として招かれています(創世記 9章10,12,15,16節)。人間の悪によって動物たちも洪水に巻き込まれたのですが、この契約において人間と被造世界との調和の回復が目指されています。……これらすべての契約(アブラハムとの契約、モーセによるシナイ山での契約、ダビデとの契約)に先立つノアの契約は、やがて立てられる新しい契約につながっていきます。人間の背反にもかかわらず、その人間を二度と呪わないと言われる神の決意は、御子の十字架の出来事を指し示しています(「旧約聖書に聴く『原初史が語る人間と世界』(10)高松牧人」 『福音時報』2021年10月号に掲載)。